充填機を使って、研磨剤を充填されたい場合に気を付けたほうが良いこと~研磨剤充填の失敗例~

今回は、過去に充填機メーカーナオミで実際にあった、研磨剤の充填で失敗したお話です。数年前あるお客様から、「食品じゃないけど、粘性のあるクリームのようなものを充填したい」というお問い合わせがありました。

早速現場へ行って、実際の充填物を見せていただくと、それはコンパウンドという呼ばれる研磨剤でした。(コンパウンドとは、微粒子の砂をクリームに混ぜたようなもので、錆びを落とすなど、研磨する素材のことです。)

実際に、そのコンパウンドを触ってみると、シュークリームのクリームくらいの硬さで、硬さの面では、充填に関して何の問題もありませんでした。研磨剤ということなので、もっとザラつく感じだと思っていたのですが、そのお客様の商品は、超微粒子のものだったので、指先にもザラつき感はありませんでした。

当時は、充填機メーカーナオミでは、研磨剤の充填の経験があまりなく、一般的なロータリー充填機を提案しました。(現在は、研磨剤の充填のノウハウもありますので、ご安心くださいね!)

実際にお客様の研磨剤を使用して、充填テストをしてみると、100gがわずか3~4秒で充填でき、しかも精度も1g範囲と高精度で充填できたので、お客様にも高評価をいただきました。早速、充填機を購入していただき、その後すぐに充填機を納品しました。

それから1年間は、非常に調子よく使っていただいていたのですが、事件は1年後に起こりました。
そのお客様から、「最近充填機の調子が悪いんですが・・・」との1本の電話がありました。

早速現場に出向き、充填機のポンプ部分を外し、中身をチェックしました。すると、ロータリー充填機の心臓部であるポンプ部の内側が、大きく削り取られ、密閉すべき場所に隙間ができ、スカスカになっていました。

逆に、なぜこんなにスカスカなのに、ある程度、研磨剤の充填ができていたのか不思議なくらいです。後で分かったのですが、充填物のコンパウンドそのものが、粘性があるので、隙間のシール材の役割を果たしており、研磨剤の充填ができていたのでした。

しかし、あまりにも隙間が大きくなると、さすがに充填物だけでシール性を保つことはできません。

今考えればわかるのですが、研磨剤というのは、モノを磨く物質なので、充填機の性質がSUS304であっても、何万回・何十万回と研磨剤が通ると、少しずつ充填機が磨かれて、ステンレスが削られてしまうことは当たり前ですよね。

しかし、ポンプ部が削り取られたからといって、新品のポンプに変更しても、その時は問題は解決するのですが、同じ問題が起こってしまいます。また、微量ではありますが、ステンレスが削れていること自体が問題なので、その時は、対策を考えました。

最終的には、SUS304を使わずに、チタンでポンプを製作することにしました。チタンは、非常に高価ではありますが、ステンレスに比べ、非常に硬く、研磨にも強い金属です。

実際に、チタン製のポンプを納品して、数年経ちますが、お客様は今も快調に使っておられます。研磨剤の充填を検討されている方は、充填機メーカーナオミは、そのノウハウを持っていますので、ぜひ一度ご相談ください。

TOP